「面白い」ってなんだろう。そんなことまで考えさせられました。

さて、ここでは初の長文ゲームレビューになりますは、初代は史上初の18禁乙女ゲームとして発売され、パソコン破壊クラスのバグの嵐と、最短5分で終わるルートや低レベルのシナリオで某所で祭りを引き起こし、乙女ゲーマーを地獄の底に突き落とした。そんな暗黒伝説を現在進行形で作り続けている「星の王女」シリーズの最新作「星の王女 光のつばさ」です。ゲームは全年齢版+18禁追加ディスク(別売)となっておりまして、ここではその18禁ディスク込みのレビューとなっております。そんな訳で18歳未満の方の閲覧を禁止させていただきます。それ以外の方は続きからどうぞ。
ちなみにこのゲーム、クリスマス商戦合わせだったのが出荷直前になって「インストーラーを入れ忘れました」という理由で、1/20に発売が延びたそうです。その際延期をいいことにバグを取ったらしいのですが、それでもまだバグが存在しているらしいです。これでどんなメーカーかはだいたいご想像がつくことと思います。
ここの傾向からして、まさかこのゲームをこれからインストするとか、そういう可能性のある方はいないと思うのですが、もしいらっしゃったらネタバレ上等ですので、閲覧はお控えになって下さい。
先日とある美少女ゲームのアンケートを見せてもらったのですが(省略)
その中の一枚のハガキが評価の項目すべてに最悪のチェックが入り、
コメントに一言「もうこんなことはやめて下さい」と書かれていたのが獅子
丸的に大ヒットでした。
(「悪趣味ゲーム紀行2」より抜粋)


昔、ここを読んだ際にはゲラゲラ笑っていたわたくしですが、正にこのハガキの主と同じ心境になるゲームにめぐり会えるなんて思ってもみませんでした。会いたくもありませんでしたが仕事でプレイせざるを得なかったので、仕方ありません。

ストーリーは説明するのもタルイのですが一応。舞台は学園。その場のノリで軽音楽部に所属することになった主人公と、ストーリーの都合的こじつけ丸出しの理由(「なんとなく」等)で、軽音楽部の全国ライブツアー(そんなもんに許可出す親や学園もどうなのか)に同行することになった複数の男女(女はすべて主人公のマブダチ)が、移動中に突然異世界に迷い込んでしまいます。なんとびっくり(棒読み)、そこは未来の地球。彼らは危機に瀕しているその世界を救う救世主として召喚されたのでありました。当然、一方的に呼ばれた連中的にはそんなことどうでもよく、単に元の世界に帰る手立てを見つけるために(途中で使命に目覚めますけど)、危機の元凶である都市に向けて旅立ちます。他にも細かい設定はありますが、知るだけ無駄なのでこれで充分です。

ゲームは序盤の学園パートで人物紹介なイベントをこなし、彼らが集まってライブツアーに出発するまでの過程がだらだらと書かれます。はっきり云って登場人物が多すぎで、3〜4人以上でガヤガヤと会話をしていくため、誰が誰なのかどんな人物像なのかを覚える暇がありません。序盤から出番の多い女性キャラならまだ把握のしようもあるのですが、男性キャラとなると登退場が慌しいため、名前を覚えるのもひと苦労です。ただ学園内やバイト先で誰かに会い、実りの無いバカ話をするだけなので誰にも何も興味が湧きません。有力な情報といえばせいぜいが先生の趣味がサボテンなぐらいです。
そんな彼らと異世界で一緒に冒険することで、気に入った男をゲットして偽名で参加の有名声優様が発せられるスイートボイスと(なけなしの)18禁要素を堪能することが、このゲームの目的です。男女の数がそれなりにあるのをいいことに、「あいのり」のノリで男女の三角四角なドロドロドラマもやってしまえという心積もりだったようです。

とりあえず、先生狙いでプレイしたときの感想を述べてみましょう。

ここで狙う香坂先生は、主人公の担任であり学園でも人気の高い古文のハンサム教師。前述の通り趣味はサボテンです。しかし、このサボテンは学園パートで話題になったきり出てきません。
恋愛パート本番となる異世界。自分たちを召喚した老婆からテキトーに世界観とゲームクリアの目標の説明を聞いた後(別に覚えて無くても大丈夫です)、出発の準備のためにショッピングをしたり、宿屋で会話に花を咲かせます。順応性の高い連中です。ちなみにこんな異常事態になれば、誰かしら絶望のあまりキチガイじみた行動に出たり意見が分裂したりするものですが、「主人公がそう云うなら」「主人公がいればなんとかなりそうな気がするyo!」(要約)そうです主人公は希望の光となり、全員の心をひとつにするのです(棒読み)。その根拠は語られません。
先生を見かけたので「あ、先生だ!」と呼びかけたところ、早く宿屋に戻りなさいとか、そんなことを云われて好感度ダウン。しかし「声かけちゃおう」ならOKです。どこに差があるねん。
そして馬車ならぬ、この世界独自のでっかい白狼がひく狼車「ノア」(主人公が勝手に命名)で旅に出発。ここから心底つまらない、連中のどうでもいい自分語り合戦がはじまります。(例 遠足の思い出・元の世界での好きな場所等)その合間になんだかよく分からない敵が出てきて戦ったりしますが、ストーリーの展開上必ず出てくるエピソードのひとつであり、別に負けることもないのでやっぱりどうでもいいです。もっと云えばこのゲーム、分岐によって行く場所は変わりますが、攻略不可なゲストキャラが変わるだけで、どうやってもちゃんと目的地に行ける親切仕様です。進め方によっては意味もなく死んでしまうキャラが2名ほどいらっしゃいますが。

冒険中、出てくる背景が水彩で30分で描いたようにしか見えない小学生の夏休みの宿題レベルなのはともかく。先生に集中的にコナかけていれば会話は発生し、そうそうしくじらなければ好感度は上げられます。しかし、この会話がどうしようもなくつまりません。先生ときたら「古文の先生」という枠にちんまりと収まり、2人だけの会話も古文の講義に終始したり「先生はおまへたちを守れるよう頑張るゾ☆」(意訳)といった、プロフィールの範囲内でしかものを云いません。先生の意外な一面を見て萌えるどころか、水道水のごとく味のない(それどころかカルキ臭さすらない)キャラクターとなっております。申しておきますが、先生のプロフィールやデザイン(何よりも声)自体はかなり好みなんです。なのに心は虚しさが広がる一方なのでした。

わたしはこんなに虚しいのに、主人公ときたら4回目ぐらいの野宿だか宿屋泊まりでの夜中の会話で、先生への激しい愛に目覚めます。「私が生徒なのがいけないんですか!?」(意訳)と迫りまくる主人公ですが、先生は「先生にとって主人公は大事な生徒だzo!」(意訳)とのらくら交わすだけ。主人公は片思いの切なさに身を焦がしますが、こちとらとしては「そんな突然燃え上がられてもー」とボリボリ背中を掻きながらマウスをクリックするしかありません。

しかもこの糞主人公、女友達のひとりのクールビューティが以前から先生に片思いしており、アプローチしていることを承知の上で、先生にアタックを仕掛けてます。当然「なんでやねん!?」とばかりに主人公を咎め、妨害にかかるクールビューティ(ただし主人公に先んじて、狼車内の先生の隣をキープする程度)。しかし、主人公は「自分の心にウソはつけないモン!」(意訳)と居直りライバル宣言。そのクセ、先手を打ったクールビューティが先生に本心を問う現場に出くわし、衝撃を受けます。自分的にはアリな行動も他人がやると傷つくようです。先生は「どちらにもそんな感情は持ってない」とドきっぱりと否定。クールビューティはそんな先生にマジ切れし、「あたしはずっと先生が好きだったの! だから分かるの! 先生は主人公を愛してるって!」(要約)と泣いて立ち去ります。どーせ先生は私のことなんかなんとも思ってないんだしーと、しまいにゃふて腐れて何もしなくなった主人公よりは行動に筋が通っており、クールビューティを応援したくなるのは常識かと思います。

にも関わらず、先公は数日後にクールビューティとの関係に決着をつけた後、主人公を人気のない場所に呼び出し、「こうするとあったかいだろ?」といきなり抱きついて告ります。いつの間にか主人公を(デフォの)下の名前で呼び出し、こんな年寄りは嫌か? とたたみかける設定25歳。それはとっくの昔にその年齢を過ぎているプレイヤー(主にわたし)にケンカ売ってますか?
実は先生も主人公のことが好きだったのですが、教師としての立場からずっと劣情恋情を我慢していたのです。主人公が他の男(生徒だろうが)と話すたびに嫉妬に悶えていたらしいです。それにしちゃ急転直下すぎて、こちとらとしては「ハア?」なのですが主人公にとってはもうどうでもいいらしく、狂喜して先生に抱きついてあとはもう2人の世界。お腹空いちゃった☆とはしゃぐ主人公に、セクハラ属性を剥き出しにした先公は食べ物の代わりにとか抜かしてちゅーします。おかわりつきです。ああ背中が痒い(ボリボリ)。
そんなウルトラバカップル成立の後、クールビューティは笑顔で主人公を励ますのでありました。おまいええヤツや…。

余談ですが、女友達は全員誰かしらに片思いしており、前述の告白イベント直前に修羅場をやらかします。しかし、なぜか主人公の幼なじみに片思いしている不思議ちゃんだけは絡みません。脳が不思議すぎて取られたことにも気がついてないんでしょうか。
一番の修羅場を演じるのは、前々から剣道部の主将に猛烈アタックを仕掛け、リーチかけている主人公の親友です。親友のラブラブぶりは学園編でのイベントにもふんだんに盛り込まれているため、それを「私だって好きなんだモン☆負けられないモン☆」(意訳)とちゃっちゃと略奪する、主人公の外道ぶりが一番出ています。略奪後、(当然ながら)荒れ狂う親友に対し、主人公は「恋愛に順番なんて関係ないよ。それに柏葉君(主将)と私たちのことは関係ないじゃん。私は怒ってるんだから(何故)私と咲良(親友)は今まで通りの親友でしょ(省略)ここで地面に転がって、駄々こねるわよ」(一部ツッコミ&注釈付)と超俺理論による逆ギレをかまします。

親友「なに、そのめちゃくちゃな理論。バカみたい」
主人公「そうよ、私バカだもん(以下略)」


…この凄まじいトンチキ発言で毒気を抜かれた親友は、時間はかかるかも知れないけど…と一応仲直りします。せんでええ。しかし、翌日にはケロっと主人公と戯れているどころか、主将の存在すら忘れているんじゃないだろうかと思うような態度ですが、単に親友が健忘症であって、以降の展開が全キャラ共通ルートなせいだからじゃないですよね?(まあ主将は告られた翌日にEDというパターンもありますが) ついでに某ルートで死亡したはずのキャラが、ED冒頭でナチュラルに生存していたのも気のせいですよね?

余談終了。
そして告られて以降は、ある廃墟で大量に襲い掛かってきた敵やらなんやらに苦戦してギブアップ寸前に、主人公が「みんなを守りたい…力が欲しい…!」アームズ神秘のパゥワーに覚醒して敵を蹴散らし、目的地へ向かう前夜に先生とちゅっちゅし(まだえろいことはしません)、ラストバトルに向けて出発というところ。
目的地である人工都市の中枢に乗り込もうとする一行ですが、当たり前ですが警備が厳しいのでどうしようかと悩みます。何も策を練ってなかったのかおまいら。そこへいわくありげな山賊のあんちゃんが登場。彼の正体の伏線は一応張られていますが、ここではどうでもいいので説明は省略させていただきます。
聞けば山賊あんちゃん、中枢にいる人物っちゅーかラスボスに恨みを抱いており、俺の力を貸してやると山賊スキルであっさりと彼らを中枢に案内します。途中で警備の雑魚たちに大量に襲われますが、お約束の「俺に構わず行け!」。その後山賊の生死は描かれませんが大丈夫らしいです。そして中枢侵入におけるピンチはこれだけです。うっそーん!

さあラストバトル開始ー(だるそうに)。ラスボスはその存在を匂わせる伏線もないまま、ラスボスというキーワードに頼る形で登場しました。声が先生と同じなのが意味深な気がしましたが、そんなこと考えたわたしが愚かでした。主人公の力と、男たちのちゃんちゃんばらばら(女性陣は応援)そして主人公が全員の心をひとつにしてラスボスを消滅させて勝利。はいはい主人公スゴススゴス。

そんなカンジで未来世界を救うと同時に、戻ってきました元の世界。先生ともラブラブ…って待たんかい! ちょっとラブい会話しただけじゃん! もうスタッフロールじゃん!
…実は、先生とのえろ(=トゥルーエンド)は、他の男たちを全員落としてからでないとダメだったのでした。おいコラ先生「だけ」が目当てのユーザーは無視かい!

EDを見た後のわたしの胸には、ただただ「つまらない」という単語が波のように、よせては引くばかりでありました。クソゲーと呼ばれるゲームはこの世に多々ありますが、それでも製作者なりに「面白くしよう」という意図は洞窟に射しこむ光のごとく少しは見えるものであり、そこで良かった探しができたりするのですが、このゲームだけはそれすら見当たりません。「CD-ROMはどこに入れるんですか?」レベルのPC初心者の女性もしくはゲームに疎い声優オタをピンポイントで狙い撃ちしてだまくらかすために、ゲームらしきものを作って売りさばこうという姑息な意図を感じてしまい、不快でたまらないのはわたしが歪んだものの見方しかできないからでしょうか。

何が一番腹が立つって、こんな水道水のようなキャラクターに山芋タロウ(偽名)様を起用したことですよ!(本名は書けませんが、公式でアップされているサンプルヴォイスを聴けば一発です)山芋様はなぁ、わたしの心の声優様なのよ。だから先生狙いでプレイしたのよ。それがなんだありゃ。あの芸達者な山芋様ですらもてあますほどのキャラの無さは。豪華声優使えば他がしょっぱくても大丈夫だろうとか思ってんのか。あの御声なのにどんな甘いセリフを聴いても、全っ然心ときめきませんでしたが何か?(憤怒)正直、あの美声をディスカウントショップで大安売りされたような気分になりました。山芋様ったら仕事選べる地位にいるのに、なんでこんなもんに…まあ前作では、レッドな彗(削除)。

もう力尽きましたので今回はこの辺で。18禁な話題ができなかったので、それは後日。
はらよしかず :: - :: -
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